第ニ章:幽玄!光と影の嵐山

大阪も頑張ってまっせ

 さて、イルミネーションは神戸だけじゃない、大阪かて頑張ってまっせというわけで、大阪にも行って来ましたよ。その名も「光の饗宴2017」。すでに15周年を数える定番のイベント。全長4キロに渡ってきらめく「御堂筋イルミネーション2017」と、中之島でのアートフェスティバル「OSAKA光のルネサンス2017」が中心プログラムで、フランス・リヨン市の「リュミエール祭」をお手本にしているのだとか。

 今回は時間の都合もあって「OSAKA光のルネサンス2017」だけ見ることに。京都の三条駅から京阪本線特急に乗って淀屋橋まで約50分。どうせならということで、この夏登場したばかり、話題のプレミアムカーに乗ってみました。赤とゴールドのツートンカラーでバッチリ決まったゴージャスな車両には、全席指定でゆったりした2人席と1人席があり、大きな荷物を置いても余裕のスペース。体全体を包み込むシートもリクライニング付きで、通常の運賃にプラス500円で、しばし優越感に浸れます。これはおすすめ。

←上からみおつくしプロムナードのイルミネーション(動画)、台南市のランタン、大阪市中央公会堂の3Dマッピング(動画)

 快適すぎて寝落ちしそうになりながら到着した淀屋橋、神戸に比べると人出は少々おとなしめで、やや混雑という程度。親子連れや若いカップルが目立ちます。中之島は東西に長いので、エリアごとにさまざまな工夫が。近年、フルカラーLEDというものが開発されて、光の三原色を調節することで、ひとつのLEDでいろんな色を出せるそうなのですが、これをコンピューター制御すると、複雑な色の変化や演出ができるとか。発光ダイオードと言えば青一色だった時代から考えると、とんでもない進歩ですよね。

 この技術を使っているかどうかはわかりませんが、大阪市役所の南側にある「みおつくしプロムナード」、そのけやき並木を彩るイルミネーションは、音楽に合わせて点滅したり色を変えたりと、まるで光が踊るような、さまざまな表情を見せてくれます。全長約150メートルの期間限定イベント、実際の様子は動画を見てくださいね。

 そして今年初お披露目というのが、台南市との“光の交流”。台湾の元宵節(げんしょうせつ)を祝う約1,000個の手描きのランタンが水辺に幻想的な雰囲気を醸し出しています。元宵節とは、正月の満月の日(旧暦の1月15日)を祝う中華圏の風習なのだそうです。そういえば、台湾の観光写真に良くランタンが登場しますよね。場所はみおつくしロードを東に向かった先のウォーターパーク。対岸に浮かんだ観光船にもイルミネーションが…。こちらでは台湾料理の屋台も営業していて、このエリアだけアジアンムード。

 さらに東に進むと、大阪のシンボル、大阪市中央公会堂が見えてきます。この歴史的建造物を使って行われるのが、今が旬?の3Dマッピング。「ウォールタペストリー」と題し、公会堂の正面をスクリーンにして、クリスマスの世界を美しく繰り広げます。これも動画に撮ってきましたから、そちらで見て下さいね。

 他にも、中之島周辺の7つの橋をライトアップしたり、各ポイントに光るツリーを配置したり、野外コンサートに大道芸と、淀屋橋から天神橋までの区間は光のイベントがてんこ盛り。さすがエンタメの街大阪、これでもかという演出でかなり頑張っています。

京都だって負けまへん

上から佐井通りのイルミネーション、五条通りと佐井通りの交差点にあるヤマモモの木→

 さて、三都の中では最もイルミネーションのイメージから遠い京都ですが、京都だって頑張ってるんですよ。そのひとつが、何と一企業だけのイベントとして毎年開催される「ロームイルミネーション」。使用するLEDは86万球! どうして一企業だけでそんなことができるのかと言えば、こちらの会社(ローム株式会社)、電子部品が専門で、LEDも自社製品のひとつなんです。2011年に京都会館の命名権を獲得して「ロームシアター京都」としてリニューアル、岡崎界隈の新名所になったのも話題になりました。

 「ロームイルミネーション」は、本社周辺にある佐井通り、メタセコイアの並木道をメイン会場に、会社の敷地や名倉公園を華やかに彩ります。特に佐井通りは道幅が狭い分、白色ダイオードの発光が鮮やか。この道は一般道として特に交通制限もしていないので、車内から景色を楽しむこともできます。特に五条通りと佐井通りの交差点には、2本のヤマモモの木を使った巨大な光のオブジェがあって、街路樹前に立つ光の門といった感じ。市街地から少し遠いのが難点ですが、すぐ近くには小川珈琲の本店もあるので、コーヒーや軽食で少し温まってから出かけるのもいいかも。

ちょっと怖いけど…

 さてさて、「光の三都物語」そのラストを飾るのは、イルミネーションではなくてライトアップ。「京都花灯路」と題したこのイベントもすでに14年目。当初は3月の東山地域だけでしたが、平成17年から12月の嵐山でも開催されるようになり、現在に至ります。ライトアップと言ってもごくごく控えめなのが特徴で、ほのかに灯る露地行灯と花の展示が中心。

 桜の咲く前と、紅葉の散った後という、いかにもシーズンオフの集客を狙ったと思われるイベントなのですが、日本的な、ふんわりした光がエキゾチックなのでしょうか、近年は外国人客を中心に人気も上々。この日も団体客を含め、意外なほどの人出です。

←上から竹林の小径、巨大提灯群、落柿舎

 嵐山へのアクセスは、鉄道ではJR、阪急、京福(嵐電)の3つがありますが、JRと阪急の駅は天龍寺や竹林の小径といった「嵐山観光はまずここから」という出発ポイントからはかなり離れていて、一番近い嵐電はいわゆるチンチン電車で、急いで行きたい人にはちょっとのんびりしすぎの印象。でも、特に急いでいないワタシは、京都市街の中心部から地下鉄東西線経由で太秦天神川で乗り換え、ゆっくり揺られてノホホンと到着。

 駅に着くと、京友禅を使った光るポール“キモノフォレスト”約600本が迎えてくれます。これはこれで華やかでキレイ。駅を出て少し歩くとヒンヤリした空気が…。やっぱり嵐山は市街地に比べると2、3度気温が低いみたい。もともと愛宕山から吹き降ろす強風に、桜や楓が散らされることから嵐山という地名になったそうですから、昔から厳しい気候であったのは確か。

 それでもこの日は風がなかった分、震えるほどの寒さではなく、少し体が温まるまで歩くにはちょうどいい感じ。ライトアップは嵐山・嵯峨野地域全体に及んでいて、道端にポツン、ポツンと置かれた露地行灯の中身は、やはり?ローム社提供のLEDだそうです。

 この日のルートは、竹林の小径から常寂光寺方面に向かって、落柿舎(らくししゃ)経由で引き返し、渡月橋を渡って阪急電車で帰るというプラン。もちろん、警備員さんが常駐しているし、ルート全体に灯籠が置かれているので、女性一人でも安心。

 竹林の小径一帯は、本当に控えめな灯りで、まさに幽玄という言葉がピッタリ。昼間見るのも趣があるけど、夜は夜で素敵。でも、もし灯りがなかったら、そして人もいなかったら、時折ザワザワと竹が風に揺れる音がして、かなり怖いかも。昔は灯りさえなかったから、相当怖かっただろうなぁ。暗闇に出没するお化けとか妖怪といった発想は、こういう環境から生まれたのかも。

どうせならストーブ…

 竹林を抜けて落柿舎方面に向かうと、途中で不思議な形の提灯に出会います。これは、地元の嵯峨美術大学の皆さんが作った「竹造」という巨大提灯群。これが目の前にいきなり出現するので、ワタシの場合意味もわからず、ただポカン。作った人には申し訳ないけど、巨大な提灯より巨大なストーブが欲しいなんて思った次第。

     上からライトアップされた渡月橋、三条パクチーのトムヤムクンスープ→

 やがて落柿舎に到着。ここは松尾芭蕉の弟子・向井去来の別荘だった小さな草庵。芭蕉も三度ほど訪れたそうです。このあたり、昔はすべてが真っ暗な中で、ここ一件だけ小さな灯りがついていたんだろうなぁ。訪ねてきた芭蕉さんもきっとホッとしたに違いありません。夜に来たっていう確証は何もないけど。

 帰り道、思ったより冷え切っていたので、途中で生姜入りの甘酒を一杯。これが沁みましたぁ〜。心にも、体にも。そのまま一気に渡月橋へ向かいます。渡月橋はこれまた幽玄の極みという感じの絶妙なライトアップ。闇の中にふわっと浮かんでる感じ。橋を渡っていると、背後の山がうっすらブルーに染まっていて、何とも不思議な雰囲気。

 阪急嵐山駅から桂で乗り換えて、河原町へ。宝塚OGとしては、なんだか懐かしい阪急電車。ホームに帰ってきたなぁ〜って感じ。公演の吊り広告を見て、思わず写真を撮っちゃいました。みんな頑張ってるかなぁ…。嵐山散策でだいぶ夜もふけてきたので、昼間チェックしておいたお店に直行。京都だからって京料理じゃありませんよ。実は京都はエスニックも美味しいんです。辛いものに目がないワタシ、タイ料理の超人気店「三条パクチー」さんで最高のトムヤムクンスープをいただきました。あ〜、芯からあったまるぅ〜。明日もがんばるぞい!<第三章へ>