第三章:コスモスとモフモフと〜意外と近くの楽園

EXPOCITYは11/19オープン

 毎回季節の花を探しに行くというのもこのコーナーのお約束。秋と言えばやっぱり、秋の桜と書いてコスモスですよね。大阪、京都、神戸のどこかでコスモスが今見ごろっていう場所はないかな〜と探していたらありました。大阪万博公園。

 私達の年代にはピンと来ないけど、アラカン世代の皆さんには凄く思い入れがあるみたいで、映画化された浦沢直樹さん(55歳)の漫画『20世紀少年』でも、万博に行かなかったのに行ったと嘘をついたエピソード(浦沢さんが万博に行けなかった悔しさが元ネタになっているそうです)や、太陽の塔が「ともだちの塔」になっていたり(映画化の際には8000万円をかけて実物を改造しました)と、万博ネタがたくさん出てきます。

 アラカン編集長も当時「行けなかった」一人で、お父さんがお土産に持ち帰ったスタンプ帳や記念メダルをいまでも大切に保管しているそうです。でも、1980年代生まれの私にとっては、話題になった「月の石」とか「人間洗濯機」とか、各パビリオンのデザインなんかをインターネットで見ていると、テーマになっていた「人類の進歩と調和」って1970年にはそんなイメージだったのか、とちょっと驚いてしまいます。今の言葉で表現するなら、かなり“キッチュ”な感じ。

写真上から“手乗り”太陽の塔、併設のひまわり畑、ニューアストリアのカツサンド(野菜入り)→

 でもその分、今の時代にはない「自由さ」を感じますよね。間近で見ると本当に大きな(高さ70m)太陽の塔は、その自由な時代のシンボルなのかも。万博終了後は取り壊される予定だったそうですが、残しておいて良かったですよね。ちなみに“万博マニア”が心待ちにしている太陽の塔内部の公開は延び延びになっていましたが、EXPOCITY(エキスポシティ)の開業に合わせて、もうすぐ可能になるみたいですよ。

 万博記念公園へのアクセスは、大阪モノレールで万博記念公園駅か公園東口駅下車。公園東口駅ならゲートを過ぎてすぐ右手にコスモスの咲く自然文化園・花の丘が見えてきますし、太陽の塔を間近で見るなら万博記念公園駅から中央口へ。花の丘へ行くならそのまま左手へ。ちょっとしたハイキングが楽しめますよ。この日もピクニック用のバスケットを持ったカップルを見かけました。

 取材当日は満開。色とりどりのコスモスが秋のさわやかな風に揺れていました。花弁に縁取りのあるピコティや、パステルカラーのイエローキャンパス、オレンジキャンバスなど個性もいろいろ。それに、ここでは季節外れのひまわりも咲いているんですよ。コスモスとひまわりの競演なんて、なかなか見られませんよね。万博記念公園のコスモスフェスタは11月3日まで。観覧車(来年)や水族館、遊園地、シネコンなどを併設した大型施設・EXPOCITY(エキスポシティ)は11月19日オープン予定です。

懐かしのホットケーキに喫茶カレー

 万博記念公園を思い切り楽しんだあとはランチタイム。大阪モノレール・千里中央駅を降りて北大阪急行電鉄南北線の千里中央駅をめざすと、地下改札のすぐそばにあるのが喫茶店ニューアストリア。何の変哲もない普通の駅ナカ喫茶ですが、こちらのカツサンド目当てに連日行列が絶えないという人気店。ホントに美味しいの?とあまり期待もせずに入ったのですが、本当に美味しいんですよ(コーヒーも)。野菜入りが700円、野菜無しが650円。お持ち帰りもできますから、ここで買って、万博記念公園を散歩するものいいかも。おじさま方が黙々と仕事をする姿もいい味出してます。

 さて、ここで第三章のコーヒーブレイク。第一章の「珈琲三都物語」で紹介できなかった各都市を代表する老舗珈琲店を紹介しますね。まずは大阪から。地元の人に美味しい珈琲店は?と聞けば誰もが答えるのが丸福珈琲店。梅田の阪急や日本橋三越にもお店があるので、一見敷居が高そうですが、実は千日前のゴチャゴチャした細い道にあるのが本店というコテコテの浪速っ子。創業昭和9年ですから今年で81年目になります。

←上から丸福珈琲店千日前本店、ブレンドコーヒーとホットケーキ

 大倉陶園のカップでいただけるコーヒーもさすが老舗の風格ですが(この時代に角砂糖というのもいい感じ)、この店に来たらぜひ試して欲しいのがホットケーキ。一枚一枚オーダーを受けてから銅板で焼く本格派。今流行のパンケーキとは一線を画す元祖・昭和の味です。バターとメープルシロップを添えて召し上がれ。

 お次は京都。神泉苑のすぐ近くにあって、ある意味神泉苑より目立つ建物が喫茶チロル。昭和44年の創業ですが、お店で働くお母さんたちを含め、昭和喫茶の王道を往く貫禄。入り口の看板には「カレーライス・焼きめし・スパゲテイ」と記されているのですが、なぜかテの字だけ小さいのがご愛嬌。このお店の特色は何と言ってもフードメニューの充実。カレーライスや豚カツ、ハンバーグなどどれも美味しそうで、しかもほとんどが600円台〜。なんと朝6時!から営業していて、もちろんモーニングセットも大人気。お昼どきには常連さんでほぼ満席になるので、ちょっと時間を外して行ったほうがいいかも。近くにあったら毎日通いたくなる、心にしみるお母さんの味です。

         上から喫茶チロル店内、「COFFEE」の文字が印象的な外観→

 ラストは神戸。神戸については「神戸のカフェ文化」でほとんどご紹介しているのですが、神戸のコーヒーを語る上でひとつ忘れてはならないお店があるんです。世界で唯一のオリジナルカフェ「バターブレンドコーヒー」で有名な御影ダンケ。伺ったのは元町店ですが、本店は阪急御影駅の南側。大阪の心斎橋、東京の吉祥寺にも支店があります。オーナーが焙煎直後の豆にバターを染み込ませるという独特の製法を4年弱かけて開発し、完成したのが昭和52年(1977)。

←御影ダンケ元町店にて

 今でもすべてオーナーの手づくりで完全な企業秘密のため、オーナーが現役の間しか味わえないそうですよ。現役といえば、私が宝塚の現役時代にも何度かお邪魔したお店です。そんなわけで、バターブレンドコーヒーはこちらでしか飲めない至福の一杯。今回はお土産に豆を買ったので暫くの間楽しめそうです。


時間を忘れる楽しさ

 旅のラストは私の大好きな動物たちとのふれあい…。今回の取材で一番楽しかったかも。神戸どうぶつ王国は神戸空港のすぐ近く、ポートアイランドにあって、以前は「神戸花鳥園」として営業していましたが、昨年夏にリニューアル。動物たちとの距離がびっくるするほど近くて、ほとんどの動物に餌付けができるというユニークな施設です。

 私が特にハマってしまったのがアルパカやミーアキャット、アメリカンファジーロップ(ウサギ)といった“モフモフ系”。家でもトイプードルを飼っていて結構日常的にモフモフしているのですが、アルパカなどはお顔がキュートな上に毛の量が半端じゃないので、モフモフし始めるともう止まりません。病みつきになりそう。

 喉のあたりを撫でてあげると急に目がトロンとするカピパラも、意外に良く動くハシビロコウも、全然動かないナマケモノも、みんな可愛いですよ。オニオオハシやヒムネオオハシといった熱帯に住む嘴が(くちばし)の大きな鳥も、綺麗な瞳で見つめてくれるフクロウさんたちも、本当に間近で見ることができます。

 他にも、牧羊犬によるドッグショーがあったり、ワオキツネザルが急に近くをすり抜けていったり(ビデオを見て下さいね)と、もう楽しくて書ききれません。意外に地元に住んでいても行ったことが無い方が多いようなので、ぜひ一度訪れてみて下さいね。お子様やお孫さん連れだったらもっと楽しいかも。私なんかついつい時間を忘れてしまって、あやうく帰りの便に乗り遅れるところでした。万博記念公園も老舗喫茶店も神戸どうぶつ王国もふだん気がつかないだけで、あなたにとっての“楽園”は意外と近くにあるのかもしれませんよ。<次回をお楽しみに>