第三章〜レトロな街には鯉のぼりが似合う

 足利の市街地から50分ほどで栃木市の中心部に到着。すでに夕方になっていたのですが、日が長くなったのね。まだまだ明るいし、車窓から眺めた市街地は「美しいまちなみ大賞」を受賞しただけあって、ホントに素敵。そんなに大きな街ではありませんが、観光用の駐車場がたくさんあるので、短時間でも効率的に回れます

 美しい街並みが残る理由は、江戸時代、巴波(うずま)川を使った物流の中心地だったことと、朝廷から日光東照宮へ派遣された例幣使の道(例幣使街道)の途上にあって、宿場町として盛えたから。以前訪れた埼玉県の川越や千葉の佐原(香取市)同様、「蔵の街」「小江戸」という呼び名がピッタリ。「関東の倉敷」とも呼ばれているそうですよ。

 早速、メルヘンチックなグリーンの洋館(市役所の別館だそうです)が見えるパーキングに車を止めて、ブラブラ散策することに。車から降りた途端、目の前に広がる風景にビックリ。思わず声を上げちゃいました。

 「なにこれ〜! メチャクチャ可愛い!」

電柱が無いからスッキリ

 だって、川の上に鯉のぼりが泳いでいて、それがず〜っと続いているんですよ。しかも川端の古い建物と良くマッチしてるの。後で聞いたら「うずまの鯉のぼり」という今年で9年目のイベントで、使われる鯉は約1,000匹。すっかり春の風物詩として定着しているそうです。期間は4月初旬から5月下旬まで。この日はもう営業終了していましたが、この風景を舟で楽しむこともできるそうです。

 素敵な眺めにウキウキしながら歩いていると、看板に何やら見慣れない文字が…。あれぇ「寺内万年筆病院」って読める。おもちゃの病院っていうのは聞いたことあるけど、万年筆は初めて。今はあんまり使う人もいないだろうけど、万年筆の全盛期?にはきっと繁盛してたんでしょうね。まだ営業しているのかな。でも、そんなレトロなお店が何気なく普通にあるのが素敵。しかもここの町名表示が「万町」! こだわってるなぁ。

 大通りに出て、少し残念だったのは、連休明けでほとんどのお店や施設がお休みだったこと。きっとゴールデンウィークの人波で疲れちゃったのね。でも、こういう感じ、嫌いじゃないなぁ。時間がゆったりと流れているし、ひとつひとつの建物に凄く手入れが行き届いていて、大切にされているのがわかるの。

 もうひとつ気がついたことは、電柱が無いこと。歩道橋もアーケードも無いの。視界を遮るものが無いから街がすごくスッキリして見えるし、空の大きさもわかる。これって結構大事なことよね。車の交通量が多いのは地方都市の宿命として避けられないとは思うけど、誰もいない早朝なんかに歩いたら、気持ちいいんじゃないかな。

昔は“暴れ川”だった

 幸来橋の辺りが撮影スポットだと聞いたので、大通りから再び川のほうに向かって歩いていくと、昭和30年代を思わせる小さなアーケード街があって、その先に瀟洒な蔵の並びが見えてきます。これが塚田歴史伝説館。巴波川という名前の由来は「渦を巻き、波を立てて流れる」からだそうで、今の穏やかな流れからは想像できませんが、明治時代に堤防ができるまでは、暴れ川として有名だったそうです。

 氾濫を鎮めるために、この場所で人柱を立てたという悲しい言い伝えが残っていて「川の神の怒りを沈めるために、美しい少女が犠牲になり橋の下に生き埋めにされた。その霊をなぐさめるために108個の燈篭を流し成仏させた。そしてその橋は幸来橋と呼ばれるようになった」(塚田歴史伝説館HPより)とのこと。

 この橋から見る鯉のぼりも最高です。でも、巴波川には本物の錦鯉も10数万匹いるんだとか。きれいな川なのね。近所にひとつ欲しいわ。お散歩なんか楽しそうだし。でも、東京じゃ無理よね…。そんなとりとめのない事を考えているうちに、本日の取材は終了。時間が無くてあまり街中を撮影できなかったので、今回は編集長が去年撮影したという建物の写真を下にまとめて紹介します。う〜ん、みんな素敵。時間があったらゆっくり回ってみたかったなぁ。

宇都宮で“蔵のご馳走”

 本当は栃木駅から17時台のJR特急電車でまっすぐ新宿まで(1時間17分)帰る予定だったのですが、時間が押して乗れそうになかったので、宇都宮からゆっくり新幹線で帰ることにしました。どうせ宇都宮に行くなら餃子でも食べて帰ろうかな、なんて思っていたら、スタッフさんから「宇都宮には餃子以外にも美味しい店がたくさんあるよ」とのこと。

 「じゃあ、宇都宮らしいお店をリクエストしま〜す」。するとスタッフさんがどこかへ予約の電話。自分で言っておきながら、餃子屋さん以外の宇都宮らしい店ってどんな店なんだろ? なんて考えていたら、いつの間にかシックな石の蔵の前で停車。しかも、目の前にはライトアップされたウットリするほど大きくて美しい石の教会。

 「今は餃子とかカクテルとジャズの街なんて言ってますけど、昔は宇都宮と言えば干瓢(かんぴょう)と大谷石。宇都宮にはこういう大谷石の建築がたくさんあるんですよ」とスタッフさん。協会の名はカトリック松が峰教会。国の登録有形文化財なんだとか。そして大谷石の蔵を改造したお店が「ダイニング蔵 おしゃらく」。間接照明の雰囲気もいいし、またまた美味しいものが食べられそうな予感。

 結果は写真の通り。結局、どうだったのかって? それはみなさんが実際に行って確かめてくださいね。それにしても今回もよく食べたなぁ…。<次回へ続く>