第三章:上海蟹に恋をして♪

クリスマスムード全開

 大さん橋を出て次に向かったのが、こちらも横浜を代表する観光スポット、赤レンガ倉庫です。山手でのシックな雰囲気とは一変して、こちらでのクリスマスは、いかにも日本らしいお祭りムード全開! 11月29日から12月25日まで開催される「クリスマスマーケット in 横浜赤レンガ倉庫」は大賑わい。モミの木の並木に囲まれたウッドデッキを抜けると10メートルのクリスマスツリーが見えてきます。

 ツリーの周囲にはそれぞれの屋根に大きなクリスマスのキャラクターを配した“ヒュッテ(屋台)”が。ドイツのクリスマスをイメージしているとのことで、ヒュッテでは「グリューワイン」「シュトーレン(ケーキ)」「ソーセージ」「バウムクーヘン」といったドイツの味覚が揃っています。この日は風が強くて身を切るような寒さでしたが、それでも会場はカップルや親子連れで熱気ムンムン。

 イルミネーションを際立たせるため、いつもより抑えめにライトアップされた赤レンガ倉庫は幻想的でとても美しいのですが、スタッフさんによると「昔は荒れ放題で落書きだらけだった」とのこと。赤レンガ倉庫が修復されて現在のような観光地として整備されたのは今から12年前の2002(平成14)年。

風雪に耐えて…

 ここでちょっと赤レンガ倉庫の歴史を紐解いてみましょう。明治時代になって、日本の本格的な海外貿易が始まります。それに伴って、大型船が直接接岸できる港湾(新港埠頭)を整備する必要に迫られました。その一環として、当時の大蔵省が保税倉庫建設に着手したのが明治末期。初期の名称は「横浜税関新港埠頭倉庫」でした。保税倉庫とは、海外から運び込まれ、輸入手続きがまだ済んでいない物資を一時的に保管する施設のこと。赤レンガ倉庫は2棟ありますが、先に完成したのが2号倉庫で1907(明治40)年に着工、1911(明治44)年に竣工。一方の1号倉庫は1908(明治41)年着工、1913(大正2)年の竣工。

 完成した倉庫は日本最初の荷物用エレベーターや消火水栓(スプリンクラー)、防火扉などを備えた、世界でも最新鋭の施設だったそうです。レンガの中に鉄材を埋め込む当時最新の建築技術を導入したため、関東大震災では1号倉庫が大きな被害を受けたものの、2号倉庫は倒壊を免れたそうです。半壊した1号棟は規模を縮小、鉄筋コンクリートで内壁などが補強されて倉庫としての業務を再開しました。その後昭和に入って、終戦から10年間はGHQの港湾司令部として使われていましたが、1956(昭和31)年からは1号倉庫が再び保税倉庫として、2号倉庫は公共の一時保管施設として復活しました。

 昭和40年代以降、海上輸送のコンテナ化が進んだため、大型コンテナ船用の新たな埠頭が造られ、取扱貨物の激減とともに赤レンガ倉庫も、その役割を終える時期がやってきました。1989(平成元)年のことです。その後、横浜市が歴史的建築物として保存に着手したのが1992(平成4)年。荒れ放題だった建物の改修が始まったのが1994(平成6)年。改修を終え、開業するまでに8年間を要しました。

 そんな100年を超える歴史を持つ赤レンガ倉庫ですが、現在では、1号館は主に文化施設として、2号館は商業施設として運営されています。40店を超える飲食店や人気ショップが入っていることもあり、昨年5月には通算来館者数6000万人を達成しました。現在(2014年12月)はクリスマスイベントの他、期間限定のスケートリンクも設置されて、ますます華やかな雰囲気に。加えてこの赤レンガパーク一帯は、キングの塔(神奈川県庁本庁舎)、クイーンの塔(横浜税関)、ジャックの塔(横浜市開港記念会館)の「横浜三塔」をすべて見渡せる夜景スポットでもあるんです。

おひとりさまも悪くない?

 今回最後のイルミネーションスポットは、横浜美術館の向かいに昨年6月できたてホヤホヤの商業施設「MARK IS みなとみらい(マークイズみなとみらい)」と、その正面の並木路。横浜でも最新のデートスポットです。ここは目黒川や六本木など都心の喧騒に比べると、嘘みたいに静か。恋人同士ならベンチに腰を下ろして、十分にロマンチックなムードを楽しめますよ。ご夫婦なら肩を寄せあって、新婚当時の雰囲気に戻れるかも。ウチの両親にも勧めてみようかな…。並木の向こうにはランドマークタワーやクイーンズスクエアの灯りが見えます。

 「MARK IS みなとみらい」の中に入ると、ディズニーの『トイ・ストーリー』をテーマにしたキュートなクリスマスツリーに出会えます。ここでの撮影を終えると、スタッフさんから「寒いし、ちょっと疲れたからお茶でもしよう」との提案。私はもちろん大賛成。1階の「アマルフィイ カフェ」でお茶しながら眺めるガラス越しのイルミネーションもなかなか素敵。こんな穏やかで暖かいカフェで過ごすなら“おひとりさま”のクリスマスも悪くないかも。ここにはテラス席もあるので、若葉の季節もおすすめです。

 さて、横浜イルミネーションの取材はこれでおしまい。ここからが今回最大の?楽しみでもある中華街でのディナーです。そこでスタッフさんが選んだお店が、大通りに面した『一楽』さん。1926年創業、88年の歴史を誇る老舗です。

 肌寒い季節にこのお店に来たら、まず注文したいのが上海蟹。単品なら茹でたものと紹興酒に漬けた「酔っ払い蟹」がありますが、一人前3,700円という超お得なコースもあるので、是非試してみてくださいね。

 その内容は「炭火焼チャーシュー入り季節の前菜盛り合わせ」「上海蟹味噌入りふかひれのスープ」「海老と季節野菜のうす塩炒め」「上海蟹味噌入り小龍包」「上海風黒酢のスブタ」「上海蟹味噌と豆腐の土鍋煮込み」「上海蟹味噌入りチャーハン」「とろとろ杏仁豆腐」という全8品! 私たちはこれに加えて「活き上海蟹の丸蒸し(特大サイズ)」と「四川名菜 よだれ鶏」を注文。横浜の地ビール「横濱ビール」で乾杯です。(*^^)v

 身が取りづらいのが欠点の上海蟹ですが、こちらのお店ではひとつひとつ丁寧にさばいてくれるので、小さな足の一本まで残さずにいただくことができます。このサービスは中華街でも『一楽』さんだけだとか。上海蟹の濃厚な美味しさにすっかり参ってしまった私ですが、もうひとつの看板メニュー「炭火焼チャーシュー」「四川名菜 よだれ鶏」も絶品ですよ。

 紹興酒も少しいただいて、ほろ酔い気分でお店を出ました。今度ここに来るときは誰と一緒なのかな? お酒で火照った顔で、そんなことを考えながら歩いていると、中華街大通りのイルミネーションがほんのり揺れていました。 (*´ェ`*) <次回へ続く>